タイムラインについて

最近、「マイタイムライン」とかよく耳にします。そこで、ちょっとタイムラインについて解説をします。

 

タイムラインとは

始まりはアメリカのハリケーン「アイリーン」で大きな被害を受けたニュージャージー州が、その後のハリケーン対策として打ち出した「ニュージャージー州政府ハリケーンレスポンスプラン付属書」が原型となっており、この「付属書」がタイムラインです。もともとの計画(プラン)だけでは対応に混乱が生じたり、連携が取れなかったりと不具合が生じたため、ハリケーン対応に関わる団体の動き・役割を、ハリケーン到達までの時間を軸に、一つの表にまとめたもので、全体の手順や判断の時期などを明確にしたタイムラインを付属したのです。

いつ・誰が・どうする

なのでタイムラインは、「ハリケーン到達1日前に何を、誰が、どうする」とハリケーン対応のために作られたのです。ハリケーンの場合、リードタイムがわかりやすいため作り易いのですが、リードタイムが短い集中豪雨などでタイムラインを作ることは難しいものがあります。

 

タイムラインの注意点

タイムラインは行動を予定化することです。「こうなったら、こうする」と行動を事前に決定(予定化)しておくのですが、台風や豪雨などの気象現象は、

予報通りにはならない点を考慮しなければなりません。降水量が予報より多くなったり、河川水位の上昇が予報より遅くなったりとかするわけです。また、「降水量が○○○mmになったら小学校へ避難を開始する」とタイムラインで予定化しても、その時が深夜であったり、強風などの場合など、都度、状況は違います。なので予定された行動を固定することは、あまり望ましくないと考えます。

次いで「依存型の時間軸」です。「避難勧告がでたら、○○へ避難する」など、行政からの情報のみに依存するのは問題があります。客観的に「雨量がこうなったら」「河川水位がここまできたら」とか事実を軸に行動を考えることが必要です。

 

Each・TimeLineを

自主防災会などがタイムラインを作成する場合ですが、気象現象も、地域の環境(日曜と、木曜では日中の行動できる人数が違うなど)も毎回違うわけですから、タイムラインも、その都度組み立てる必要があります。それが「Eachi・TimeLine(都度タイムライン)」です。「今日の夜から、前線が南下して北陸地方で大雨が予想される」となったら、その時間軸で、動ける人などの環境を考慮して、タイムラインを組み立てます。予報が変更されて「明け方にかけて大雨が・・」となれば、その段階で行動を組みなおします。また、予報では「明け方」なのに、「現状激しい雨が」となれば、それに適した対応に組みなおす。

 

下の写真は、先日開催した「避難力セミナー」で使用したタイムライン用のボードと、行動プレートです。

上:Eachi・TimeLine用のボード(表面にセロファンが貼ってあります)

 下:行動プレート

 主だった行動をプレートにしてボードに貼り付けられるようになっている

下:シミュレーションでEachi・TimeLine用ボードの使用例