災害は突然に、そして瞬間的に、大切な家族や友達の生命、愛するものの命、自身の命をも奪い去ります。そして、多くの人々の生活や、財産をも崩し去っていきます。その悲しみ、心の傷は深く、『人』も『まち』も、自らが生きる力を取り戻すには、様々な支援と相当な時間が必要となります。
阪神淡路大震災以降、日本では様々な災害が多発し、2011年には東日本大震災が発生し、自然の無情で膨大な威力を否応無く突きつけられました。しかし、そのような無情な猛威にも、「偶然」とか「奇跡」とかではなく、着実に命を守りきることができた人たちがいます。その人たちの多くは、平常時から災害と向き合い、自然の力を甘く見ず、正しい知識を身につけ、住民同士がしっかりとつながりあい、絶えず災害に備えてきた人たちです。
現在、多くの地域に、住民同士で災害から命を守るための自主防災組織が結成され、災害に備える活動が展開されています。しかし、何をしなければならないのか、どうすればいいのかよく判らず、活動が停滞している組織も少なくはありません。それらの組織が、地域住民の命を守るための防災力を育てていくためには、住民目線で、現実的かつ実行可能な指導と支援が必要です。災害種毎の専門的知識や情報活用方法等の習得や、様々な状況変化に対しての適宜適切な判断力の育成など、災害から命を守るには多くの知識と能力が求められます。これらを学び習得するには、理解するだけの研修方法だけではなく、現実的に実行できるようにするための研修方法など、様々な形での地域防災力を向上するためのプログラムが必要となります。
2010年に組織を設立し、数多くの地域で防災活動の支援を行ってきました。また、「わかるための学び」と「できるための学び」に焦点を当て、「安否確認トレーニング」や「土砂災害アクショントレーニング」など、様々な研修方法の開発にも取り組んできました。
私たちは、「まちの防災研究会」を法人化することによって、更により多くの市民に対して防災・減災活動の必要性の認識を広めていくとともに、様々な課題に対しての研究をより活発に展開するとともに、より効果的な研修方法の開発研究を行うとともに、広く社会に提案し、より多くの地域社会で、災害から大切な命を守ることのできる社会を育て、安心で安全な社会づくりに寄与することを目的として、ここに「特定非営利活動法人まちの防災研究会」を設立します。